第14回八重の会報告
9月26日に中澤まゆみ氏の講演会を開きました。中澤氏はノンフィクションライターですが、友達の介護、両親の介護を経験して関心を福祉分野に移されました。実践と知識を両立されている方です。テーマは「要介護状態になるまえに備えること」としました。
中澤氏の資料から講演の内容をまとめてみます。
「人生100年時代 おひとりさまに備える知恵と工夫」
いずれはみんな「おひとりさま」高齢者の「ひとり暮らし」世帯は高齢者世帯の
約49.5%。介護保険制度23年間に大きな社会変化があった。介護保険は2015年、2018年、2021年改定があり、2024年度改定は12月に結論。
日本のケアの課題は「人生100年時代」と「ファミレス時代」である。これは疾患を抱える人と認知症の人の増加で、そして誰でも訪れる「中途障害」これは突然にやってくる介護を意味する。介護が必要となるのは80年代で6割以上、その3大原因は認知症が第1位で脳血管疾患、老衰と続く。
中澤氏自身に友達の介護が飛び込んできて付き添い、診察の結果、初期のアルツハイマー病の診断が下る。それ以来19年、友達なので振り回されながらも本人の意思を聞き、友達ネットワークを駆使しパートナー的存在に(支援者から、パートナーとしての伴走者へ、いまは89歳、特養で生活中)「ほっとけない」がスタートで自分ごと感を持ち、まわりのネットワークを生かし介護をひとりで抱え込まなかった。良く知っている友達なので本人の意思が想像しやすく、結果的にパートナー的な存在になれた。
誰でもなりうる認知症
85歳以上では4割以上、90歳を超えると7割以上(女性) 長谷川和夫さんの言葉に認知症の本質は「暮らしの障害」、大事なのは、今を生きること。
本格的な介護が必要になるまでには、長い期間があり、このまだ自立している期間には
生き方、暮らし方、地域とのかかわりが重要です。
認知症の原因となる病気は70種類以上あり、完全な予防策はなく、誰にでも起こりえる。
少しずつ始まり、長い経過をたどる。支障が増えていくけれど、自分はいつまでも自分です。出来ないこともあるけど、できることもたくさんある。環境で状態が大きく左右される。認知症は早期の対応と支援がいちばん大事で、「周辺症状」には理由がある。
認知症になっても地域でオープンにして一緒に暮らし続ける。サロンや集いの場、認知症カフェなど地域の「居場所」が重要である。「自分力」「人もち力」「地域力」でケアの町づくりを目指そう。
老後の備え10カ条
- 自分の体調の変化を調べることを習慣づける。(血圧、体温、体重、便や尿、食欲など)
- 日ごろから、身体の状態を診てくれている医師。相性のいいドクターを選ぶ。
- 高齢者へのサービスと介護の相談は、「地域包括支援センター」へ
- 日本の役所は「申請主義」知らないと制度はつかえません。自分で学ぶ。相談する。
- その時々で、「自分の介護」をイメージしてみよう。どこで?誰に?看取りはどこで?
- 最期まで在宅を可能にするのは、本人の意思、そして、医療と介護、家族と周囲の人たちの「チームケア」
- 緊急医療情報カード、スマホに医療情報を収納する。
- 成年後見制度には「法定後見」と「任意後見」がある。
- 平穏な最終章を迎えるために。元気なうちに家族と話し合い準備を。
- 「支援する=>支援される」より「おたがいさま」「そばにいるよ」ちょっとずつのおせっかい。できることを、できるだけ。
以上が中澤さんの講演の要旨です。