第11回八重の会は、延期続きであった伊藤真氏の講演会を３月29日に開催できました。

90分の講演のテーマは「今、憲法を考える～私たちが主権者であるために」でした。ロシアのウクライナ侵攻と重なったので、最初にこの侵攻からの教訓を二つあげられて、一つは＜やはり軍隊は必要＞と、もう一つは＜やはり軍備拡大は危険＞というものでした。有事に備えて日本がウクライナに学ぶことは多く、今一度冷静によく考えてみることが必要と感じました。

「憲法が目指すものは軍事支援ではなく、ＮＡＴＯに属しない日本だからこそできる中立的な立場からの仲裁など、国際社会において名誉ある地位を占める方法が可能なはず」その例として、「非戦と非核、軍縮を内外に推進」「紛争後の復興支援」「紛争の原因除去のための積極的活動」「軍事力だけが国際貢献ではなく、安全保障でもない」等々をあげられました。この中の「紛争後の復興支援」は、災害国日本で経験がある自衛隊がすぐに役立つことではないかと思いました。

「攻撃されたときの防衛以上に、いかに攻撃されないようにするか、”安心の供与“が重要」とも話されました。ただ、理想論に聞こえて、現実的にはどうするのかと考え込みました。

また第９条改憲については、「冷静に判断できない時期に改憲すべきではない」「国民に憲法、立憲主義への理解が浸透していない」「軍事力に依存する国をめざし、戦争をする国となることでいいのか」「抑止力は、戦争する意思と能力を相手に示して威嚇すること」また今ニュースに取り上げられている敵基地攻撃能力については「その本質は、全面的戦争容認につながり、現実的な抑止力強化にはならず、リスクの方が大きい」この言葉には納得するものがあります。「政治権力を憲法で縛るという考え方を立憲主義という。民主主義と立憲主義はアクセルとブレーキの関係にある」これは憲法の本質をよく説明していると思います。

「憲法を知ってしまった者として、今できることを市民として主体的に、ゆっくり急ぎ、一歩一歩行動することが大切」との結びの言葉は印象に残りました。